忘れられない印象深い試合!2018年全日本テニス選手権決勝!清水綾乃VS澤柳璃子

この大会、最も注目を浴びた二人が決勝で!

この2018年、清水綾乃プロは飛躍の年でした。
2017年にプロへ転向、その後に順調にランキングを上げて2018年初めてのウィンブルドン、全米オープンの予選に挑みます。
本戦まで進むことはできなかったものの、この後もランキングを維持し、2019年は4大大会すべての予選に参加するほどの躍進を見せている若手選手です。
※2020年現在22歳
2018年、僕はかなり清水プロの動向を追っていて大会の勝利に一喜一憂していました。
ツアータイトルこそないものの、ダブルスでタイトルを取得したりコンスタントにベスト4に進出したり、活躍の目立つ2018年で、とても注目された20歳、新鋭の女子テニスプレーヤーでした。

たいして澤柳璃子プロです。
僕は澤柳プロの多彩なプレーがとても好きで、試合を見ていると様々なことを戦略的に多種多様なショット、プレーを見せてくれるのがとても好きでした。
94年組といわれる日比野プロ、穂積プロ、加藤プロ、二宮プロ、尾崎プロなどプロ女子テニスプレーヤーがたくさん出ている94年生まれの女子テニスプレーヤーで、このプロをたくさん輩出した年代だからこその強さが光るプレーヤーでした。
しかし、2018年初めからパタっとプロの舞台で活躍を見ることがなくなり、どうしたのかな、と思っていた矢先に全日本テニス選手権への参加が取りだたされ、かつて94年組のエリートといわれたプロ選手の復活か!?と期待を向けられていました。

スコア 6-0,7-5 で清水綾乃選手の優勝

結果だけ見れば新鋭、若手の勢いある清水綾乃プロが6-0,7-5で優勝でした。
しかしその試合の中身はとても濃いものでした!
清水プロは女子選手の中でもとてもハードなストロークで相手を押しこみ、じわじわと相手のポジションを下げさせて追い込むストローク力が魅力。
相手が下がっていった中で広くなったコートを使って相手を崩していくパワーとスピードを利用した戦略的なポイントが見ごたえのあるプレーヤーです。
特にリターン一発で主導権を握っていく爽快な感じがとても気持ちの良いプレーヤーです。

対して澤柳プロは力強いストロークが魅力なのは清水プロと似ています。
が、清水プロ以上に戦略的に多彩なショット、例えばサイドに追い込むクロスや相手のバック側に低く滑らせるスライス、タイミングをズラすロブ気味のボール、「同じショットは2本連続で来ない」という感じさえするほどの多彩なショットで相手のミスを誘導していきます。

経験の差がみえるのに

正直、見ている感じでは「経験の差」を強く感じる試合でした。
それも明らかに澤柳プロの経験が勝っている、という感じの試合。
ただ主導権は確かに清水プロが握っていました。
様々なボールで戦術的に相手を前におびき出したり相手の打ちにくいところで自分のチャンスボールを引き出したり。
試合の組み立ては非常に澤柳プロが上手く、少しずつそれに清水プロが対応していく形のように見えました。
しかし、その先、最後の一手やその手前で清水プロが高度なテクニック、パワーのあるボールで崩しにかかる。ポイントまで到達させてもらえず、だんだんに澤柳プロにミスが目立ち始める、という試合でした。
決して打ちやすいボールではないですが、非常に上手く、ミスをせずにカウンターしていく清水プロがポイントをとっていく1stセット。
2ndセットも同じような展開で5-1まで行きますが、だんだんと清水プロにもミスが出始め、また、澤柳プロの「あと一歩」で完成する手前でのミスが減り、戦略的に澤柳プロの「完結」までの展開が増え、それでも最後は清水プロが振り切り7-5という結果で全日本選手権の優勝を手にしました。

怪我と戦い世界と戦い磨いた熟練されたテニス

澤柳プロのテニスを言葉で表すとこれになると思います。
澤柳プロの経歴はエリート街道のように自分も感じます。しかしプロになってからの世界を回ってはなかなかツラい日々、世界のプレーヤーに通用しない時期が続いていたように思います。
その中で自分に必要なものをたくさん取り入れて多彩な戦術を手にした澤柳プロ、それに対して自分のできること、自分の武器を磨いて押し切る清水プロ。
「これまでのテニス人生を反映したテニス」VS「これからに向けてのテニス」というべきでしょうか、そんな印象を抱いた一戦でした。
二人の仲にそんなことはなかったですが澤柳プロの「こういう時どうする?」という問いかけに清水プロが答えていく、というような、まるで先輩が後輩に伝達しているかのようなテニス・・・そんな二人の語り合いのように感じる試合でした。
あと、清水プロのはどこか日比野菜緒プロに似ているところがある、と思ったのもこの試合を通じてでした。「色々なことができるように」というよりは「この一発を磨く」という感じでしょうか・・・

まだまだ活躍を見せてほしい2選手!

全日本選手権を通してまだまだ活躍、飛躍の可能性を感じさせてくれた2選手。
これからの活躍に期待したいところです!
清水プロは2019年はランキングを落としてしまい、4大大会の予選にかかるかかからないか少し苦しい位置になってしまっています。
澤柳プロはいまは日本リーグに出場したりといいった選手活動もしつつ、プロツアーコーチのような活動をしたり、ジュニアの期待の星、クロスリー真優選手のヒッティングパートナーをしていたりと指導者のような活躍も増えてきています。
選手活動だけでなく、様々な活動にも意欲的な澤柳プロの今後の動向にも注目したいところですね。
これからもたくさんの試合で活躍をみせていただきたいところです!

今、日本テニスの女子は注目の選手が盛りだくさん!
これからも注目していきたいですね!